目次
この記事はこんな経営者様・財務/経理ご担当者様におすすめです
- ファクタリングの入金や手数料の仕訳・勘定科目がわからず悩んでいる経理担当者様
- 会計処理を誤って会社の財務状況を不正確にしてしまうリスクを防ぎたい方
- 2社間・3社間ファクタリングにおける正しい会計処理の手順を知りたい経営者様
この記事の結論(3つのポイント)
- 会計処理は「借入」ではなく「売掛債権の売買(譲渡)」: 負債(借入金)は増えず、資産(売掛金)の減少として処理するのが大原則です。
- 2社間ファクタリングの「入金→送金」の動きに注意: 売掛先からの入金を自社の「売上」として二重計上せず、「預り金」として処理することが重要です。
- 手数料は「売上債権売却損」などで費用計上: 消費税は非課税であり、決算期末をまたぐ場合は売掛金の消し込み漏れに注意が必要です。
ファクタリングを利用した際、「この入金、どう仕訳すればいい?」「手数料の勘定科目は?」と悩む経理担当者は少なくありません。会計処理を誤ると、会社の財務状況を正しく把握できなくなるおそれがあります。この記事では、ファクタリングを初めて利用する経営者・経理担当者に向けて、会計処理と仕訳の基本、そして誤解されやすいポイントをわかりやすく解説します。財務コンサル・資金繰り改善の観点からも、正確な会計処理による現状把握は不可欠です。
次にやること(30秒)
- 契約形態(2社間/3社間)と入金経路(自社経由か直接か)を確認する
- ファクタリングの手数料、登記費用、その他諸費用の内訳と総額を整理する
- 会計ソフトに入力する際の勘定科目(売上債権売却損など)を顧問税理士に確認する
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結論:会計処理は「売掛金の売買」と「手数料・費用」を分けて考える
誤解されやすいのは「借入に見える動き」
ファクタリングの会計処理で最も重要な原則は、これが「借入」ではなく、売掛債権という資産の売買(譲渡)である点です。したがって、会計上は原則として負債(借入金)が増えません。
ただし、特に2社間ファクタリングでは、売掛先からの入金を一度自社で受け取り、それをファクタリング会社に送金する、という資金の流れが発生します。この「入金→送金」の動きが、一見すると「借入→返済」のように見えやすく、会計処理の誤解につながります。常に「資産の売却取引である」という前提に立って処理することが、正しい仕訳の第一歩です。
まず確認:ファクタリングの基本(2社間/3社間の違いを超要約)
会計処理は取引の形態によって一部変わります。資金調達・ファクタリングを適切に活用するためにも、まず2つの基本形の違いをおさらいしましょう。より詳しくは「ファクタリングとは」で解説しています。
- 2社間ファクタリング:利用者とファクタリング会社の2社間での契約。売掛先に通知せず、売掛金の回収は利用者が代行します。入金スピードが速いのが特徴です。
- 3社間ファクタリング:利用者、ファクタリング会社、売掛先の3社間での契約。売掛先に債権譲渡の通知・承諾を得て、売掛金は売掛先からファクタリング会社へ直接支払われます。手数料が低いのが特徴です。
【早見表】取引パターン別:会計処理の考え方
| 取引パターン | 経理でまずやること | 仕訳イメージ(概要) | つまずきポイント |
|---|---|---|---|
| 3社間ファクタリング | 売掛債権を帳簿から消し、手数料を費用計上する。 | (借)普通預金 90 / 売上債権売却損 10 (貸)売掛金 100 | シンプルだが、手数料の勘定科目を何にするかで迷いやすい。 |
| 2社間ファクタリング(実行時) | 3社間と同様、売掛債権を消し、手数料を費用計上。 | (借)普通預金 90 / 売上債権売却損 10 (貸)売掛金 100 | この時点では3社間と同じ。売掛金が消えることを忘れない。 |
| 2社間ファクタリング(回収・送金時) | 売掛先からの入金を「預り金」として処理し、ファクタリング会社へ送金する。 | ①(借)普通預金 100 (貸)預り金 100 ②(借)預り金 100 (貸)普通預金 100 | 売掛先からの入金を「売上」として二重計上してしまうミスが多い。 |
| 登記費用など追加費用あり | 手数料とは別に、支払手数料や租税公課などで費用計上する。 | (借)支払手数料 8 (貸)普通預金 8 | 手数料に何が含まれているか、契約書と見積書で内訳を確認する必要がある。 |
| 決算期末をまたぐ場合 | ファクタリング実行済みの売掛金が、売掛金残高として残っていないか確認。 | 期末時点で、譲渡したはずの売掛金が残高試算表に残っている。 | 特に2社間の場合、入金がまだなので消し込みを忘れやすい。 |
仕訳の基本(代表的な仕訳例)
例として、100万円の売掛金を、手数料10万円(消費税は非課税)でファクタリングした場合の仕訳を見ていきましょう。
売掛金の消し込み(債権譲渡の考え方)
ファクタリングを実行した時点で、売掛債権という資産はファクタリング会社に移転します。そのため、経理上も「売掛金」を貸方に計上し、帳簿から消去します。同時に、ファクタリング会社から入金された現金(この例では90万円)と、費用である手数料(10万円)を借方に計上します。
【仕訳例:ファクタリング実行時】
| (借方) | (貸方) | ||
| 普通預金 | 900,000 | 売掛金 | 1,000,000 |
| 売上債権売却損 | 100,000 |
手数料の勘定科目(支払手数料/売上割引/その他)
ファクタリング手数料をどの勘定科目で処理するかは、会社の会計方針や顧問税理士の判断によって異なります。代表例は以下のとおりです。
- 売上債権売却損:「売掛債権という資産を、額面より安く売却したことによる損失」として扱う考え方で、実態に即しているとして用いられることがあります。
- 支払手数料:販売管理費として処理する考え方です(社内の会計方針により採用されることがあります)。
- 売上割引:本来の「売上割引」とは意味合いが異なるため、採用する場合は会計方針との整合性を含めて確認が必要です。
迷う場合は、必ず顧問税理士に確認しましょう。
登記費用・印紙・振込手数料などの扱い(発生する場合)
手数料とは別に、債権譲渡登記の費用や契約書の印紙代などがかかる場合があります。これらは「支払手数料」や「租税公課(印紙代の場合)」など、内容に応じた勘定科目で別途費用計上するのが一般的です。
よくある誤解・ミスと、実務の注意点
- ミス:売掛金を消し忘れる
ファクタリング実行後も売掛金を消し込まずに残してしまうと、資産が過大計上され、財務諸表が不正確になります。 - ミス:入金を「売上」として二重計上
2社間ファクタリングで売掛先から入金があった際に、これを新たな「売上」として処理してしまうと、売上が二重計上されます。ここはあくまで「預り金(またはそれに準ずる科目)」として整理するのがポイントです。 - 注意:消費税の扱い
ファクタリングは「金銭債権の譲渡」にあたり、消費税は非課税取引とされます。手数料を課税仕入れとして処理しないよう注意が必要です。詳しくは国税庁のガイドライン(非課税となる取引)等もご参照ください。 - 注意:期末をまたぐ場合の処理
決算期末に、すでに譲渡済みの売掛金が残高として残っていないかを必ず確認しましょう。特に2社間の場合、入金がまだのため見落としがちです。 - 注意:摘要欄の活用
後から見返しても取引内容が分かるように、摘要欄に「◯月分 △△社向け売掛金 ファクタリング実行」など、具体的に残しておくと管理が楽になります。 - 注意:契約書と見積書の保管
税務調査などで取引の根拠を問われた場合に説明できるよう、契約書・見積書・入金明細などは一式で保管してください。 - 注意:資金調達方法の比較
ファクタリングは有効な手段ですが、常に最適とは限りません。自社の状況に応じて、資金調達の比較も行い、最適な選択を検討しましょう。あわせて、ファクタリング会社選びの観点も押さえておくと安心です。
【今週やる】経理担当が押さえるチェック10
- 契約形態(2社間/3社間)を確認し、入金経路(自社経由か直接か)を把握したか?
- 対象となる請求書(債権)を特定し、二重譲渡にならないよう管理リストを作成したか?
- ファクタリングの手数料、登記費用、その他諸費用の内訳と総額を記録したか?
- ファクタリング実行日に、対象の売掛金を帳簿から消し込む処理を予約したか?
- 決算期末をまたぐ場合、譲渡済み債権が売掛金残高に含まれていないか確認する予定を立てたか?
- 顧問税理士に渡す資料(契約書、見積書、入金明細)を一つのフォルダにまとめたか?
- 会計ソフトに仕訳を入力する際の、摘要欄の記載ルール(例:取引先、日付、内容)を決めたか?
- (2社間の場合)売掛先からの入金専用の管理口座を用意するか、入金時の処理フローを決めたか?
- ファクタリングの会計処理手順をマニュアル化し、担当者間で共有する準備はできているか?
- 将来、監査や金融機関から説明を求められた場合に備え、今回の取引の目的と経緯を一言メモで残したか?
【仕訳事例】100万円の売掛金を譲渡したケース
実際にファクタリングを利用した場合、帳簿上でどのような動きになるのか、具体的な数字を使った仕訳事例を見ていきましょう。
【当社コンサルタントの解説事例】額面100万円の売掛金をファクタリングで譲渡
【取引の前提条件】
額面100万円の売掛金を、手数料10万円(消費税は非課税)でファクタリング会社に譲渡しました。この場合、手数料が引かれ手元に入金される金額は90万円となります。
【経理上の処理と仕訳】
ファクタリング実行時に「売掛金」100万円を貸方に計上して帳簿から消去します。同時に、借方に「普通預金」90万円と、手数料分の「売上債権売却損(または支払手数料など)」10万円を計上することで、正しい資産の減少と費用の認識が完了します。2社間ファクタリングの場合は、後日売掛先から入金があった際に「預り金」として処理することがポイントです。

まずはご自身の状況を整理し、顧問税理士への相談を
税理士への報告や決算作業をスムーズに進めるために、ファクタリング実行前後で経理担当者が準備・確認すべき項目を整理しました。処理や相談の前に以下の情報を揃えておきましょう。
📌 無料診断をスムーズに進めるための事前準備リスト
ご相談の前に以下の情報が手元にあると、より正確で迅速なアドバイスが可能です。(すべて揃っていなくても相談は可能です)
- 契約書と見積書の確認: 手数料や諸費用の内訳、契約形態(2社間か3社間か)を確認します。
- 入出金明細の記録: ファクタリング会社からの入金履歴や、売掛先からの入金履歴(2社間の場合)を準備します。
- 対象債権のリスト化: どの請求書(売掛金)が譲渡済みかを明確にし、二重計上や消し込み漏れを防ぎます。
よくある質問(FAQ)
Q1. ファクタリングは借入として処理する?
A1. 原則として「借入」ではありません。ファクタリングは「売掛債権の売買(譲渡)」であるため、負債(借入金)ではなく、資産(売掛金)の減少として処理します。結果として、貸借対照表(B/S)の見え方が変わる場合があります。
Q2. 手数料はどの勘定科目にするのが一般的?
A2. 「売上債権売却損」として処理する方法が用いられることがあります(売掛債権を額面より低い金額で売却した損失、という考え方です)。ただし、会社の方針によっては「支払手数料」など別の科目を用いる場合もあるため、顧問税理士に確認してください。
Q3. 2社間と3社間で仕訳は変わる?
A3. ファクタリング実行時の基本的な仕訳(売掛金を消し、手数料を計上)は同じです。大きく異なるのは、2社間で発生する「売掛金の回収・送金」プロセスで、売掛先からの入金を一時的に「預り金」として処理し、送金時に消し込む仕訳が追加で必要になります。
Q4. 売掛先から入金があった場合(2社間)はどう処理する?
A4. 売掛先からの入金は、自社の売上ではなく、ファクタリング会社に引き渡すべきお金です。入金時は「(借)普通預金/(貸)預り金」として負債計上し、送金時に「(借)預り金/(貸)普通預金」で預り金を消し込みます。
Q5. 期末をまたぐときの注意点は?
A5. すでにファクタリングで売却済みの売掛金が、決算書で資産として計上されていないか(売掛金残高に残っていないか)を厳密に確認する必要があります。特に2社間取引で、入金がまだのケースは消し込み漏れが起きやすいです。
Q6. 税理士に何を渡せばスムーズ?
A6. 「ファクタリング会社との契約書」「手数料・諸費用の内訳が分かる見積書や請求書」「ファクタリング会社からの入金明細」「売掛先からの入金明細(2社間の場合)」をセットで渡すと、取引の全体像が伝わりやすく、処理がスムーズになります。

この記事の監修者:ビジネクション 財務コンサルタントチーム
中小企業の資金繰り改善、銀行融資のリスケジュール、ファクタリングの最適活用までを総合的に支援する財務のプロフェッショナル集団。累計相談件数3,511件以上、支援後の事業継続率は98.1%を誇ります。経営者様の「いま現金が必要」「税務署からの督促が来ている」といった緊急の課題に対し、最短即日での資金調達と抜本的なキャッシュフロー改善策を提供しています。
ご注意:本記事は、中小企業の資金調達に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の斡旋や、税務・法務に関する個別の助言を行うものではありません。具体的な納税計画や資金調達の実行にあたっては、必ず税理士、弁護士等の専門家や、管轄の税務当局にご相談ください。

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