「コロナ融資の返済が本格化し、月々の負担が重く資金繰りが苦しい…」
「複数の借入を一本化して、返済計画を立て直したい」
「借換を検討しているが、実行されるまでの運転資金が足りるか不安だ」
多くの中小企業の経営者様が、コロナ禍で受けた融資の返済本格化にともない、このような悩みに直面しています。金利や返済期間が異なる複数の借入を抱え、資金繰りが圧迫されているケースは少なくありません。
この記事では、その解決策の一つとなりうる「信用保証協会の借換保証制度」について、その仕組みやメリット、注意点をわかりやすく解説します。さらに、借換が実行されるまでの資金繰りギャップを埋めるための「つなぎ資金」の選択肢についても中立的な視点で比較し、貴社に合った最適な方法を見つけるための判断材料を提供します。
目次
信用保証協会の「借換保証制度」とは?
信用保証協会の借換保証制度とは、中小企業者が複数の金融機関から受けている保証付きの融資を、新たな保証付き融資に一本化するための制度です。これにより、返済計画を見直し、月々の返済負担を軽減することが期待できます。
特に、コロナ禍で多くの事業者が利用した「ゼロゼロ融資」などの返済負担を軽減する目的で、近年あらためて注目されています。制度の具体的な要件や対象者は、各地域の信用保証協会や金融機関によって異なるため、利用を検討する際は、まず取引のある金融機関や、所在地の信用保証協会の公式情報をご確認ください。
借換で何が変わる?メリットと注意点
借換保証を利用することで、主に以下のようなメリットが期待できますが、同時に注意すべき点も存在します。
借換のメリット
- 月々の返済負担の軽減
複数の借入を一本化し、返済期間を長期に設定し直すことで、毎月の返済額を圧縮できる可能性があります。これにより、資金繰りに余裕が生まれます。 - 返済管理の簡素化
返済先や返済日が複数あると管理が煩雑になりがちですが、借入を一本化することで管理の手間が大幅に削減されます。 - 新たな資金調達の可能性
条件によっては、既存の借入残高に加えて、追加の運転資金や設備資金を上乗せして借り換えることができる場合もあります(一本化できる金額は保証限度額の範囲内です)。 - 代表者保証(経営者保証)を外せる可能性
後述しますが、一定の要件を満たすことで、経営者個人の保証を解除できる可能性があります。
借換の注意点
- 総返済額が増える可能性
返済期間を延長すると、月々の返済額は減りますが、その分、支払う利息の総額は増える可能性があります。目先の負担軽減だけでなく、総返済額もシミュレーションすることが重要です。 - 追加の保証料や手数料
新たに保証を付けるため、信用保証協会へ支払う保証料が別途必要になります。また、金融機関によっては手数料が発生する場合もあります。 - 審査・実行までに時間がかかる
申し込みから審査、実行までには、一般的に1ヶ月〜数ヶ月程度の期間を要します。その間の資金繰りをどう維持するか、計画を立てておく必要があります。
代表者保証(経営者保証)を外すための考え方
多くの中小企業経営者様にとって、個人として会社の債務を保証する「代表者保証」は大きな精神的負担です。国も「経営者保証改革プログラム」などを通じて、経営者保証に依存しない融資慣行の確立を推進しています。
借換を機に代表者保証の解除を目指すことは可能ですが、「必ず外せる」というものではなく、金融機関や保証協会による慎重な審査が必要です。一般的に、以下の3つの要件を満たすことが求められる傾向にあります。
- 資産の所有・経理の分離:法人と経営者個人の資産や経理が明確に分離・区別されていること。
- 財務基盤の強化:自己資本が充実し、財務状況が健全であること。
- 経営の透明性:適時適切な情報開示(決算書や試算表の提出など)により、経営の透明性が確保されていること。
これらの要件を満たしていることを客観的な資料で示すための準備が重要になります。
表②:代表者保証を外すために整理したい準備チェック表
| 論点 | 具体的な準備 | 確認資料例 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 法人・個人の分離 | 役員貸付金・仮払金などを解消し、公私混同がない状態にする。 | ・決算書、勘定科目内訳明細書 ・株主総会議事録(役員報酬) | 長年にわたる貸付金などは、解消計画の合理性を説明できるかがポイントになる場合があります。 |
| 財務基盤 | 適切な利益を確保し、純資産(自己資本)をプラスに保ち、増加傾向にあることを示す。 | ・直近3期分の決算書 ・月次試算表 | 赤字や債務超過の場合、すぐに解除を目指すのは難しい傾向にあります。まずは黒字化が先決です。 |
| 経営の透明性 | 金融機関からの要請に応じ、試算表や資金繰り表を定期的・タイムリーに提出する。 | ・資金繰り表 ・事業計画書 | 情報開示に対する真摯な姿勢が、信頼関係の構築につながります。 |

要注意!借換実行までの「資金繰りギャップ」
借換保証は非常に有効な手段ですが、最大の注意点は、申し込みから融資が実行されるまでに1ヶ月〜数ヶ月のタイムラグが発生することです。
この期間中も、既存の借入返済や仕入れ代金の支払い、人件費などの支払いは待ってくれません。借換を申し込んだものの、実行される前に資金がショートしてしまっては本末転倒です。
そのため、借換の計画と並行して、実行までの数ヶ月間を乗り切るための「つなぎ資金」をどう確保するか、という視点が不可欠になります。

つなぎ資金の選択肢を比較検討する
借換実行までのつなぎ資金を確保する方法はいくつかあり、それぞれに特徴があります。自社の状況(いつまでに、いくら必要か)に合わせて、最適な手段を冷静に比較検討しましょう。
表①:つなぎ資金の選択肢 比較表
| 手段 | 実行までの目安 | コストの考え方 | 主な条件・見られやすい点 | 向くケース | 注意点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 銀行/公庫の短期融資 | 数週間〜1ヶ月以上 | 金利(年率)が低い傾向 | ・事業計画の合理性 ・財務状況、信用力 | 時間に余裕があり、信用力に問題がない場合 | 緊急の資金需要には対応が難しい場合があります。 |
| ビジネスローン | 数日〜1週間程度 | 金利(年率)は銀行融資より高めになる傾向 | ・申込企業の返済能力 ・信用情報 | 銀行融資より早く資金が必要な場合 | 金利が高めなため、短期・少額の利用が中心になる傾向があります。 |
| ファクタリング | 最短即日〜数日 | 手数料(債権額に対する料率) | ・売掛先の信用力 ・債権の存在証明 | 緊急性が非常に高い場合、融資の審査に通らない場合 | 借入ではないため負債は増えませんが、手数料が融資の金利より高くなる可能性があります。 |
これらの資金調達手段を比較する際、最も重要なのは「スピード」と「コスト」のバランスです。緊急性が高いほど、コストは高くなる傾向があることを理解しておく必要があります。
特に、ファクタリングは、自社の信用力よりも売掛先の支払い能力が重視されるため、赤字決算などの状況でも利用できる可能性がある「借入ではない」資金調達手段です。取引先に知られずに利用できる2社間ファクタリングであれば、最短即日での資金化も可能な場合がありますが、その分、手数料は高めになる傾向があります。借換実行までの数週間〜数ヶ月といった特定の期間だけ、一時的に利用する「つなぎ」として有効な選択肢の一つです。
借換とつなぎ資金を併用する際の注意点
借換の相談と並行して、ファクタリングなどのつなぎ資金を利用する際には、いくつか注意すべき点があります。
- 総コストで判断する:つなぎ資金の手数料や金利と、借換で必要になる保証料などを合算し、トータルでどれくらいのコストがかかるのかを把握しましょう。
- 契約内容をよく確認する:特にファクタリングを利用する場合、売掛先が倒産しても返済義務のない「ノンリコース契約」であることを確認することが重要です。
- 金融機関への説明:借換を相談している金融機関に、つなぎ資金の利用についてどのように説明するか、事前に整理しておくことが望ましい場合があります。借換までの資金繰りを維持するための計画的な行動であることを合理的に説明できるかがポイントです。
借換保証の進め方と、つまずきやすいポイント
借換保証の申し込みから実行までの一般的な流れと、各ステップでつまずきやすいポイントを整理しました。早めに準備することで、プロセスをスムーズに進められる可能性が高まります。

表③:借換を進める流れ(目安)と詰まりポイント
| ステップ | 内容 | 目安期間 | 詰まりやすい点 | 先に用意したいもの |
|---|---|---|---|---|
| 1. 事前準備・相談 | 取引のある金融機関に借換の意向を相談。必要書類を確認。 | 1〜2週間 | ・自社の借入状況を正確に把握できていない ・資金繰りの現状を説明できない | ・借入一覧表 ・直近の決算書、試算表 ・資金繰り表 |
| 2. 申込・書類提出 | 金融機関を通じて、保証協会へ申込。事業計画書などを提出。 | 1〜2週間 | ・事業計画書の内容が不十分 ・必要書類に不備がある | ・返済計画を含む事業計画書 ・納税証明書 |
| 3. 審査 | 金融機関および保証協会による審査。面談が行われることも。 | 2週間〜1ヶ月以上 | ・事業の将来性や返済能力を合理的に説明できない ・審査期間中の資金繰りが悪化する | ・面談の想定問答集 ・つなぎ資金の計画 |
| 4. 契約・実行 | 審査通過後、金融機関と金銭消費貸借契約を締結。融資が実行される。 | 1週間程度 | ー | ・契約に必要な実印、印鑑証明書など |
ケーススタディ:借換とファクタリングを併用した例
【建設業A社の例】
コロナ融資を含む3本の借入(月々返済合計100万円)を抱え、資金繰りが逼迫。取引金融機関に借換を相談したところ、審査・実行まで2ヶ月かかるとの回答。その間の運転資金500万円が不足することが資金繰り表から判明。
打ち手:
借換の申し込みと並行し、入金予定のあった売掛債権の一部をファクタリングで現金化し、500万円のつなぎ資金を確保。無事に2ヶ月後、借換が実行され、月々の返済は60万円に軽減。資金繰りに余裕が生まれ、経営の立て直しに成功した。
※上記はあくまで一例です。同様の結果が得られることを保証するものではなく、実際の結果は各企業の財務状況、売掛先の信用力、金融機関やファクタリング会社の審査など、様々な条件によって異なります。
相談・申込みの前に。失敗しないためのチェックリスト
- 現在の借入状況(金融機関、残高、金利、返済日)を一覧で整理できているか?
- 月々の返済負担額が、資金繰りをどれくらい圧迫しているか把握しているか?
- 資金繰り表を作成し、借換実行までの資金が足りるかシミュレーションしたか?
- 不足する場合、いつまでに、いくらの「つなぎ資金」が必要か明確になっているか?
- 代表者保証を外したい場合、そのための準備(法人・個人の分離など)は進めているか?
- 借換で月々の返済額が減っても、総返済額が増える可能性を理解しているか?
- つなぎ資金の選択肢(ビジネスローン、ファクタリング等)を複数比較検討したか?
- つなぎ資金のコスト(手数料・金利)を含めた、トータルの費用を試算したか?
- 金融機関に提出する事業計画書や返済計画は、現実的で合理的な内容になっているか?
- 相談する金融機関や専門家に対し、不明点や懸念点を質問する準備はできているか?
自社に合う選択肢の整理に。まずは無料診断をご活用ください
「借換とつなぎ資金、何から手をつければ良いのかわからない…」
「自社の状況で、そもそも借換の相談は可能なんだろうか?」
「つなぎ資金のコストがどれくらいになるか目安を知りたい」
このようなお悩みをお持ちでしたら、まずは無料で利用できるオンライン診断をお試しください。貴社の状況を入力するだけで、考えられる選択肢や注意点の整理に役立てることができます。複雑な資金繰り改善の第一歩としてご活用ください。
お電話で直接ご相談いただくことも可能です。
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保証協会の借換に関するよくあるご質問(FAQ)
Q1. 保証協会の借換(借換保証)は誰でも使えますか?
A1. いいえ、誰でも利用できるわけではありません。保証協会の保証対象となる業種の中小企業者であることに加え、事業計画や財務状況などについて、金融機関および保証協会の審査を通過する必要があります。業績が著しく悪化している場合など、条件によっては利用が難しいケースもあります。
Q2. 借換をすると月々の返済は必ず下がりますか?
A2. 必ず下がるとは限りませんが、多くの場合、返済期間を現在よりも長く設定することで、月々の返済額を軽減することを目指します。ただし、返済期間が長くなるほど、支払う利息の総額は増える可能性がある点に注意が必要です。金融機関との相談の上、慎重な返済シミュレーションが求められます。
Q3. 代表者保証を外すには何が必要ですか?
A3. 一般的に「法人と個人の資産・経理が明確に分離されていること」「財務基盤が健全であること」「経営の透明性が確保されていること」の3つの要件を満たすことが求められる傾向にあります。これを客観的な資料(決算書、事業計画書など)で示すことが重要です。詳細は金融機関や保証協会にご確認ください。
Q4. 借換の審査・実行までどれくらいかかりますか?
A4. 状況や金融機関によって大きく異なりますが、一般的には申し込みから実行まで1ヶ月〜3ヶ月程度を見ておくとよいでしょう。必要書類の準備状況や審査の進捗によっては、さらに時間がかかる場合もあります。この期間の資金繰りをどう維持するかが重要なポイントになります。
Q5. 借換実行までのつなぎ資金は何を優先して選ぶべきですか?
A5. 「いつまでに資金が必要か」という緊急度によって優先順位は変わります。1ヶ月以上の余裕があるなら銀行の短期融資、数日〜1週間程度ならビジネスローン、最短即日など緊急性が極めて高いならファクタリング、といったように、状況に合わせて複数の選択肢を比較検討することが肝心です。
Q6. ファクタリングの利用(利用中/利用予定)は借換の相談に影響しますか?
A6. 影響の有無や度合いは、金融機関の考え方や、ファクタリングの利用状況によって異なります。一概に「問題ない」とも「不利になる」とも断定はできません。重要なのは、借換実行までの資金繰りを維持するための計画的な利用であることを、資金繰り表などを用いて合理的に説明できることです。不安な場合は、事前に専門家へ相談することも有効です。
まとめ:計画的な準備で、資金繰りの安定化を目指す
保証協会の借換保証は、月々の返済負担を軽減し、圧迫された資金繰りを改善するための有効な手段の一つです。しかし、その効果を最大限に引き出すためには、計画的な準備が欠かせません。
- 現状把握:まずは借入状況と資金繰りを「見える化」する。
- 計画立案:借換実行までのタイムラグを想定し、「つなぎ資金」の計画もセットで立てる。
- 比較検討:つなぎ資金は、スピード・コスト・条件を比較し、自社に最適な手段を選択する。
- 事前準備:金融機関や保証協会に提出する書類は、早めかつ丁寧な準備を心がける。
これらのステップを一つひとつ着実に進めることで、目の前の資金繰り不安を解消し、より安定した経営基盤を築くため大きな一歩となります。まずは本記事のチェックリストを参考に、自社の状況整理から始めてみてください。
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資金繰りの悩みは、一社一社状況が異なります。まずは専門家に相談し、貴社にとっての最適な選択肢を見つけることが解決への近道です。
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