「最近、国がファクタリングを推進していると聞くけれど、本当だろうか?」—— このように感じている中小企業の経営者や経理担当者の方も多いのではないでしょうか。結論から言えば、「国が特定の金融サービスであるファクタリングを直接的に推進している」というよりは、「中小企業の資金繰り円滑化のために、売掛債権(売掛金)の活用を後押ししている」と理解するのが正確です。
政府の各種発表や指針を読み解くと、その背景には、不動産担保や経営者保証に過度に依存しない資金調達手段の多様化(売掛債権を含む資産の活用、事業性評価など)があります。この記事では、金融庁や中小企業庁などが公表している一次情報を手がかりに、政府のスタンスと、経営者が実務でどう活かすべきかを中立的に解説します。
目次
国が「売掛債権の活用」を後押しする背景
国が中小企業の「売掛債権活用」に注目する背景には、日本の取引慣行や資金調達の構造的な課題があります。特に、下請取引における支払条件の問題は資金繰りに直結しやすい論点です。
背景①:下請法の運用強化と支払条件の改善要請
公正取引委員会や中小企業庁は、下請事業者の不利益となり得る取引慣行の是正に取り組んでいます。例えば、手形での支払いや長い支払サイト(売上が発生してから入金されるまでの期間)は、中小企業のキャッシュフローを圧迫する要因になり得ます。こうした流れの中で、支払の現金化や支払サイトの短縮(例:60日以内を目安とする考え方)などが論点になっています。
このような環境では、「入金を待つ間の資金繰り」をどう支えるかが重要になります。ファクタリングは、売掛債権の早期資金化を実現する手段の一つとして検討されることがあります。
背景②:不動産担保・経営者保証に依存しない資金調達の促進
従来、日本の金融機関では、不動産担保や経営者の個人保証を重視する場面が多くありました。一方で、担保が乏しい企業や、事業の将来性はあっても資産背景が薄い企業では、必要な資金を確保しづらいという課題も指摘されています。
そこで、金融庁などは、事業の将来性や、企業が保有する多様な資産(在庫、そして売掛債権など)を評価する融資手法(ABL:動産・売掛金担保融資など)の活用に触れています。ABLはファクタリングとは異なりますが、「売掛債権を資金源として活用する」という点では共通する要素があります。
金融庁・中小企業庁の公表情報から読み取れる方向性
政府や関連機関のスタンスは、具体的な制度・公表資料にも表れています。ここでは、売掛債権の活用に関して参照されやすい一次情報を紹介します。
1. 売掛債権担保融資保証制度(中小企業庁)
中小企業が売掛債権を担保として金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会の保証を活用する制度として紹介されています。売掛債権を資金調達に活用する考え方を後押しする情報の一つです。
(出典:中小企業庁「売掛債権担保融資保証制度の創設」)
2. ABL(動産・売掛金担保融資)の活用(金融庁)
金融庁は、金融機関に対してABLの活用に言及しています。ファクタリングとは異なる仕組みですが、売掛債権を活用するという点で関連するテーマです。
(出典:金融庁「ABL(動産・売掛金担保融資)の積極的活用について」)
3. 中小企業の事業再生等に関するガイドライン(全国銀行協会)
金融機関による事業再生支援の考え方に触れたガイドラインとして公表されています。売掛金の回収を含むキャッシュフローの重要性を考える上で参照されることがあります。
(出典:全国銀行協会「https://www.zenginkyo.or.jp/」)
これらから読み取れるのは、「売掛債権を含む資産の活用」や「資金調達手段の多様化」によって、中小企業の資金繰りを円滑化しようとする大きな方向性です。
注意:国が問題視する「偽装ファクタリング」との違い
一方で注意点もあります。金融庁などが注意喚起しているのは、ファクタリングを装った「貸付」(いわゆる偽装ファクタリングや給与ファクタリング等)です。正規のBtoBファクタリング(企業間取引の売掛債権を対象とするもの)とは性質が異なるため、契約の形式や説明内容に不自然な点がないか確認することが重要です。
正規のファクタリングは一般に売掛債権の「売買(譲渡)」として説明されます。検討時は、契約書面の内容(例:契約類型、追加費用、違約金、償還請求の扱いなど)をよく確認し、判断に不安がある場合は専門家や公的窓口への相談も含めて検討してください。
自社の資金繰りを見直す10項目のチェックリスト
国の動向を踏まえても、まず重要なのは自社の足元の資金繰りを客観的に把握することです。以下の10項目をチェックし、改善の必要がある点を整理しましょう。
- 資金繰り表を作成し、実績と予測の差異を確認しているか?
- 主要な売掛先の入金サイト(回収期間)を正確に把握しているか?
- 反対に、買掛金の支払サイト(支払期間)は適切か?
- 売上は伸びているのに、手元の現金が減っていないか(黒字でも資金不足になっていないか)?
- 不良在庫や、長期間回収できていない売掛金はないか?
- 急な資金需要(大型受注、設備故障など)に備えた対策はあるか?
- 借入金の返済スケジュールは、収益状況に見合っているか?
- 金融機関などと相談できる関係を築けているか?
- 資金調達の選択肢として、融資以外の方法(ファクタリング等)を比較検討したことがあるか?
- 契約書・請求書・通帳(入出金明細)などの資料を、必要時に提出できるよう整理しているか?
チェックで課題が見つかった場合は、資金繰りの見える化から着手するのがおすすめです。
資金調達の選択肢に迷ったら
「自社に最適な資金繰り改善策がわからない」「融資とファクタリング、どちらがいいのか迷う」…そんな時は、まず状況を整理することが重要です。
お電話でのお問い合わせ:03-6478-2263(平日9:00〜18:00)
資金調達方法の比較早見表
売掛債権の活用(ファクタリング)は、あくまで選択肢の一つです。緊急度、必要金額、条件などを踏まえ、他の方法も含めて比較検討することが重要です(資金調達の比較)。
| 評価軸 | 銀行融資 | ビジネスローン | ファクタリング |
|---|---|---|---|
| 審査の主な対象 | 企業の信用力・財務状況・担保等 | 企業の信用力等 | 売掛先の信用力・債権の信頼性等 |
| スピード | 遅めになりやすい(数週間〜数ヶ月の例) | 比較的速い(数日〜1週間の例) | 速い(最短即日〜数日の例) |
| コストの考え方 | 金利・諸費用 | 金利・諸費用 | 手数料・諸費用(総コスト) |
| 担保・保証人 | 必要になる場合がある | 不要な場合もある | 不要な場合がある |
| 会計上の扱い | 負債が増える | 負債が増える | 借入ではない整理になる場合がある(※会計処理は状況により異なります) |
| 向いているケース | 高額・長期の資金需要など | 少額・短期のつなぎ資金など | 急な資金需要・売掛金の早期回収など |
よくある質問(FAQ)
Q1. 本当に国はファクタリングを「推進」しているのですか?
「推進」というより「売掛債権の活用を後押ししている」が近い表現です。目的は、中小企業の資金調達手段を多様化し、資金繰りを円滑化することにあります。ファクタリングはその選択肢の一つになり得ますが、サービス自体を国が直接推奨・保証しているわけではありません。
Q2. 国が関与しているなら、ファクタリングは安全ですか?
正規の事業者による企業間(BtoB)のファクタリングは、一般に売掛債権の資金化手段として利用されています。一方で、説明内容や契約形態が不適切なケースが問題視されることもあるため、契約書面や費用、条件を十分に確認することが重要です。
Q3. ABL(売掛債権担保融資)とファクタリングはどう違いますか?
ABLは「融資(借入)」で、ファクタリングは売掛債権の「資金化(契約形態はサービスにより異なる)」として説明されることが一般的です。会計上の扱いや費用、審査・条件、スピードなどが異なるため、目的(緊急度・金額・期間)に合わせて比較するのが重要です。比較の考え方は資金調達の比較で整理しています。
Q4. 下請法とファクタリングはどう関係しますか?
直接の制度連携があるわけではありませんが、下請取引の支払条件が資金繰りに影響する場面で、売掛債権の早期資金化を検討する企業もあります。取引条件の見直しは下請法・支払条件でも整理しています。
Q5. 政府系の金融機関はファクタリングを扱っていますか?
政府系金融機関が一般にファクタリングサービスを提供するケースは多くありません。政策に基づいた融資や保証制度などが中心で、ファクタリングは主に民間事業者が提供しています。
Q6. 結局、資金繰りに困ったら何をすればいいですか?
まずは資金繰り表で現状を把握し、改善策(取引条件の見直し、資金調達手段の比較など)を整理するのがおすすめです。迷う場合は無料診断から状況整理を進める方法もあります。
まとめ:国の意図を理解し、主体的に資金繰り改善を
- 国はファクタリング自体を直接推奨するというより、中小企業の資金繰り円滑化のため「売掛債権の活用」や資金調達手段の多様化を後押ししている。
- 背景には、取引適正化(支払条件)や、担保・保証に偏らない資金調達の考え方がある。
- 一方で、契約形態・費用・条件の確認は重要で、疑問があれば専門家や公的窓口への相談も検討する。
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